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青く透き通った美しい刃が、圧倒的な存在感を曝け出す。 「さぁ、行きますよ」 グレイスが剣を上から下へ一振りした瞬間。 地面から氷の柱が次々と連なって出来ていき、巻き込まれた男達は全員その場で氷漬けになってしまった。 「なっ……んだと」 一瞬の出来事に、一人残されたガウスは開いた口が塞がらない。 「申し訳ありません。少々魔力を強めすぎてしまいました。でも安心してください。半日も経てば、次第に氷も溶けてきますから」 ーーちょっと? ーー強めすぎた? グレイスの言葉は、先ほどまで慢心していたガウスの心を簡単にへし折ってしまった。 今からガウスがどんな武器を用意しても、他の仲間を引き連れてきても絶対に勝てないだろう。 まさに英雄の圧倒的な力に、ガウスは武器を落とし。その場で座り込んでしまった。 (これからどうする。どうすればいい。どうしたら逃げられる。どうしたらどうしたらどうしたら……) もはや勝つことも逃げることも出来ないガウスに、グレイスは容赦なく近づいていく。 「さて。貴方一人になってしまいましたね」 「ヒッ!!」 地面を蹴って、ガウスは必死に逃げようと後ずさる。 「わ、悪かった。俺が悪かったから……」 グレイスの歩みは止まらない。 「こ、殺さないでくれ」 どんなに命乞いをしても、グレイスとの距離はどんどん縮まっていく。 (なんで……なんで俺ばかりがこんな目に) 死が近づいてくると感じたガウスの頭の中では、昔の走馬灯が駆け巡っていた。 子供の頃味わった怒りと憎しみ、生きるために自分を捨てて、逃げて、そして悪に染まったクソみたいな人生を。 (あぁこれが、悪党の、俺の死に方なのか……) グレイスの剣が刃の向きを変え、眩しく光った時。ガウスは死を覚悟して瞼をぎゅっと閉じた。
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