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「そう考えたグレイス様は、ガウス様を連れて来られたのです……」 「なるほど。そんな事考えてたのか、グレイスは」 あれからグレイスを屋敷へと連れて帰ったロイドは、回復魔法が使えるロックに治療をお願いしている間。グレイスが何故ガウスを恋人に選んだのか、色々と事情を知っていそうなメアリーに話を聞きだしていた。 「ご本人も、流石に自分勝手だったと落ち込んでいました」 「まぁ……そうだな。俺ならキレてる」 「まぁまぁ……」 案外刺された傷は浅かったらしく、すぐに治療が済んだグレイスは、まだ目を覚まさないままベットで眠っていた。 二人はそんなグレイスを見ながら軽くため息を吐く。 「全く……馬鹿だなグレイスは。俺は魔力なんかなくてもグレイスが好きだったのに……なんで人の気持ちに気付かないんだろうなぁコイツは」 眠っているグレイスの頬をツンツンと突っつきながら、ロイドは聞こえていないことをいいことに文句を垂れ始める。 「大体お前は普通に愛されてるのに、英雄じゃない自分を愛してほしいとか、本物が欲しいとか我が儘すぎるんだよ。じゃあ俺のお前に対する本物の愛は受け取ってくれるのかよ。グレイス」 「ロイド様……」 「はぁ……分かってるよ。もうコイツは、あの男にぞっこんなんだろ?あぁ~~あ……もっと早くこの気持ちを伝えてれば、グレイスは俺の事を好きになってくれてたかもしれなかったのになぁ……勿体ないことした」 ロイドは項垂れて溜息を吐く。 人の目なんて関係なくガウスを助けに来たグレイス。 そしてグレイスを助けるため、悪を演じたガウス。 互いを助けるために自らを犠牲にした二人を見て、ロイドはもはや自分が割り込める隙は無いんだと自覚してしまった。 「それならせめて、友人として……グレイスの側に居させてくれ」 最後にグレイスの頬を優しく撫でたロイドは、置いていた剣と上着を羽織り。立ち上がる。 「ロイド様、どこへ?」 「罪滅ぼしに行く。もとわといえば、俺があのピエロ野郎に騙されたのが原因だしな」 「しかし……」 「あぁ、あの例の男に勝てるかは分からんが。ガウスさえ拉致すればこっちの勝ちだ」 「拉致って……」 「場所はある程度把握してる。それじゃあ、グレイスを頼んだぞ。メアリー」 「……はい。ロイド様もお気をつけて」 颯爽と部屋を出ていったロイドを見送ったメアリーは、グレイスの方へ近寄り。口を開く。 「どうされますかグレイス様」 「…………勿論、着いていきますよ」 瞼を開けたグレイスは、隣に置かれていた剣を手にして立ち上がる。 自分を愛してくれた人達を、連れて帰るために。
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