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「ん?どうしたぁガウス。なにをそんなに怯えてんだ?」
「い、いえ……その……」
「ん?なんだ?」
「も、申し訳ありませんでした」
緊張と恐怖で身体が硬直したまま頭だけを下げるガウスに、ボスはゆっくりと近づくと、顎を掴んで下を向いていたガウスの顔を無理矢理上げた。
「俺に謝るってことは、自分が悪い事をした。という気持ちがあるって事か?」
「そ、それは……」
ボスの瞳に、怯えに歪んだガウスの顔が映る。
「言ってみろガウス。お前は俺に、どんな『悪い事』をしてきたんだ?」
「ぼ、ボス……お、俺は……」
「英雄グレイス・ユージニスに負けたことか?ずっと監禁されていたことか?それとも……ソイツに惚れちまったことか?」
「ッ!!」
「ほぉ~~。否定しないんだな」
ガウスは言葉が出て来なかった。
ボスはガウスとグレイスの全てを知っていたどころか、ガウスの気持ちまで全て見透かしていた。
もうどう言葉を濁らせようと、嘘を吐こうと、ボスを騙すことはできない。
死さえ覚悟したガウスの震えは止まり。怯えていた目は真剣な眼差しへと変わった。
「はい。否定しません……俺は、アイツに惚れてしまいました。申し訳ありません」
「……いいねぇ。言うようになったなぁガウス。そんなお前も愛してるぜ」
満足げな笑みを浮かべ、ガウスに向けて煙草の煙を吹きかけるボスだが、途端に声色が変わる。
「でもなぁガウス。昔にも言ったと思うが……『一度悪に染まったら、もう元の明るい場所に戻れると思うなよ餓鬼。お前は一生俺の奴隷だ』って、確か言ったよなぁ?俺」
「ボス……ウッガッ!!」
ガウスはそのまま顔面から床に叩きつけられ、頭を抑え付けられる。
「英雄様に惚れたからなんだ?元々悪党のお前が、あんな善人と一緒にいれるわけないだろ?」
「そ、れは」
「それとも一度犯されただけで、お前はその気になっちまうのか?そんな純粋無垢な野郎だっか?」
「待ってください!!俺は犯されていません!!」
「……なーんだ。まだそこまではいってないのか。あの英雄様も意外と奥手だな」
そう言うとボスはガウスを仰向けにし、腹の上に座って煙草をふかし始めた。
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