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「なっ、あっつ!?」
燃え上がる火の熱さと驚きに、その場をすぐに離れるガウス。
「これは……アイツの」
「悪かったな。助けに来たのが俺で」
「……ロイド・アルフェルト」
真っ赤なコートに真っ赤な剣を右手に持って現れたロイドは、不満げな顔をしながらもガウスの元へ近寄り。腕を引っ張って立ち上がらせた。
「さっさと行くぞ」
「…………何考えてやがる」
「別に。ただ俺は、グレイスの為だけに動いてるだけだ」
「はっ。なら尚更、俺をアイツの元になんて返したくないんじゃねぇのかよ」
「……正直に言えばそうだ。本当はこのままグレイスからお前を引き離して起きたい。けど、グレイスにはお前が必要なんだ。だから大人しくついてこい」
そう言ってガウスの腕を引っ張っていると、燃え上がる炎の中から、くつくつと笑う声が聞こえだした。
「オイオイ。勝手に話を進めてもらっちゃ困るなぁ~~。コイツは俺の物なんだ。人の物勝手に持っていくのは泥棒なんだぜ?英雄様よ」
「ッ!!」
ボスを纏っていた炎は、吹き消しられた蝋燭の火のように一瞬で消えてしまった。
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