5/7
44人が本棚に入れています
本棚に追加
/50ページ
「なっ、あっつ!?」 燃え上がる火の熱さと驚きに、その場をすぐに離れるガウス。 「これは……アイツの」 「悪かったな。助けに来たのが俺で」 「……ロイド・アルフェルト」 真っ赤なコートに真っ赤な剣を右手に持って現れたロイドは、不満げな顔をしながらもガウスの元へ近寄り。腕を引っ張って立ち上がらせた。 「さっさと行くぞ」 「…………何考えてやがる」 「別に。ただ俺は、グレイスの為だけに動いてるだけだ」 「はっ。なら尚更、俺をアイツの元になんて返したくないんじゃねぇのかよ」 「……正直に言えばそうだ。本当はこのままグレイスからお前を引き離して起きたい。けど、グレイスにはお前が必要なんだ。だから大人しくついてこい」 そう言ってガウスの腕を引っ張っていると、燃え上がる炎の中から、くつくつと笑う声が聞こえだした。 「オイオイ。勝手に話を進めてもらっちゃ困るなぁ~~。コイツは俺の物なんだ。人の物勝手に持っていくのは泥棒なんだぜ?英雄様よ」 「ッ!!」 ボスを纏っていた炎は、吹き消しられた蝋燭の火のように一瞬で消えてしまった。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!