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「なっ……なんで」
炎を消したどころか、焼け跡すら見当たらないボスの姿に、ロイドは驚きを隠せず目を見開く。
だが、驚いてるのも束の間。
腰から銃を取り出したボスは、ロイドに向かって乱射した。
それに気づいたロイドは、剣で全ての弾を弾き飛ばすが。いつのまにか背後に立っていたドールが煙球を地面に投げつけ、ロイドとガウスの視界を奪っていく。
「コホッ!!ッ……オイッ!!ガウス!!」
白い煙で前も後ろも見えない中、ガウスを探そうとするロイド。
だがそんな中。背後から漂ってきた殺気を察知し、すぐさま身体を後ろへ捻りながら、乱射される弾を弾き飛ばす。
だが敵の攻撃は止まらない。今度は頭上から踵を振り下ろしてきたドールに、ロイドは咄嗟に剣を盾にして受け止めるが。その間にがら空きになってしまった足元を狙われ。右足を撃ち抜かれてしまった。
「ツッ!!……クソッ」
「なんだなんだぁ?英雄ってのは、このていどなのか?」
「なめんな!!」
痛みをこらえて立ち上がったロイドの剣は、真っ赤な炎を纏い燃え上がる。
「消し炭になれ!!」
ロイドが剣を振った瞬間。
燃え上がる炎は、ドールに向かって巨大な渦を巻きながら向かっていった。
ロイドの炎の魔力は、大きな魔獣さえも一瞬で燃えてしまうほどの威力。それほどのものを人間が食らえばそれこそ消し炭と化してしまうだろう。
だがその炎はドールを燃やす前に、また一瞬で消えてしまった。
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