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「んっ、ぅっ」 どうにか抵抗しようと背中を仰け反ったり、唇を噛もうとしたりするガウスだが、寧ろ浮いた背中に腕を回され、さらに舌を奥までぬるりと差し込まれていく。 「んっ!!ーーふっ、ぅ」 深いキスがガウスを飲み込み。次第に息を吸うだけで精一杯になってきてしまったガウスの唇の端からは、どちらのものか分からない唾液が垂れていた。 「凄く気持ちいいですね……ガウスさん」 「はなっせ、んっ」 もはや抵抗する力すらないガウスの口内に、グレイスは再び侵入する。 歯を撫で、舌を絡ませ、熱と息が交わって、ガウスの思考は徐々に奪われていた。 熱い、気持ちいい、満たされる、まるで脳も心もグレイスに支配されるかのように、ガウスはだんだんキスを求め出していた。 「っ……ふっ、ぅ」 「可愛いです……ガウスさん」 (可愛い?……何言ってんだコイツ。というか……俺は今何されてるんだっけ?) 唇が一旦離れた所で酸素を一気に取り込み、徐々に冷静を取り戻し始めたガウスは、最悪の状況に顔を青ざめた。 (マズイ。このままだと、キスだけじゃすまなくなる。それだけはどうにか阻止しないと) 「ガウスさん……もっと」 「ちょっと待った」 「え?どうしたんですか?もしかして、気持ちよくなかったですか?」 「い、いや。そうじゃなくてだな……」 「では、気持ちよかったんですね。よかったです」 「……」 そこについては反論できず、ガウスは黙り込む。 男同士で、しかも自分の商売を邪魔した相手だというのに、思いのほか嫌な気持ちにならなかったことに、ガウスが一番悩まされていた。 「あぁクソッ!!そんなことはどうでもいいんだよ!!ただ、これ以上は俺に触るんじゃねぇ!!」 「……どうしてです?恋人同士なら普通ですよ?」 「そもそも恋人じゃねぇ!!俺はテメェなんか好きじゃねぇんだよ!!」 「……僕にキスされて、優しくされて、それでも好きにならないですか?」 「なるか!!気持ちわりぃこと言ってんじゃねぇ!!」 叫び続けたせいで息を切らすガウスに、一瞬呆然としていたグレイスだったが。その後、何故か嬉しそうに頬を緩ませた。 「やっぱり、貴方にしてよかった」 「は?」 言葉の意味が理解できないガウスをよそに、グレイスはベットから降りると、引き出しの中から何かを取り出し。再びガウスの隣に座った。
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