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捜索
お昼ご飯をつくったのに蓮の帰りが遅い。
「虫取りに夢中になっているのかしら」
お祖母ちゃんは心配になりはじめた。
いつもは森に入ってもご飯の時間になると帰るのに、今日は帰る気配が無い。
「探しに行ってみましょう」
お祖母ちゃんはマムシよけの長い棒を手に取り、麦わら帽子をかぶって森に入っていった。
「蓮!」
獣道を歩いて行くといつものクヌギがあった。
「足跡があるわ」
お祖母ちゃんは孫の小さな足跡を辿って山の中をあるいた。
しばらくすると蓮も見た大きな岩があった。
「まさか」
お祖母ちゃんの顔からサッと血が引いた。
岩の近くに蓮の網と虫かごが落ちていた。
「何てことを」
誰かが岩を動かして封印していた地獄の入り口を開けたのだ。
その岩は大昔、山の神様が悪霊を封印するために置い岩だと言い伝えられていた。
「蓮!」
お祖母ちゃんは這いつくばって、穴を覗き込んだ。
「だめだわ」
お祖母ちゃんはたちあがり、森の奥深くにむかって歩き始めた。
曾お祖母ちゃんの話では、大昔、火山活動で山の中を流れた溶岩が作った穴が、山の西側の神社に通じているというのだ。
「いそぎましょ」
お祖母ちゃんは杖で山道を叩きながら歩き続けた。
マムシに噛まれたら大変だわ。
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