バトル天女

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バトル天女

 ミサはスルリと身をかわすと、蓮を岩陰に隠した。 「ミサ姉ちゃん大丈夫?」 「大丈夫よ」 「ガオー」  黒大蛇がミサに頭からかぶりつく。  ガリ  不気味な音がした。 「ギャああ」  ミサの笛が伸びて大蛇の顎が大きく開けられていた。 「食べてやる」  大蛇の別の頭がミサに襲いかかる。 「今だわ」  ミサは大蛇の口から飛び降りた。 「なめた真似をしやがって」  黒大蛇はミサを食べようともう一つの顔を勢いよく笛を噛んだ顎の中に突っ込んだ。  がぶ  肉をかみ切る鈍い音がした。 「ギャアア」  大蛇は自分で自分の頭を噛み切ってしまった。 「うう……」  黒大蛇は悶え苦しみやがて息絶えた。 「ミサ姉ちゃん」  蓮は天女にしがみついて震えた。 「もう大丈夫よ」  ミサは蓮の頭を優しくなでる。 「蓮ちゃん! 無事でよかった」  お祖母ちゃんの声がした。 「お祖母ちゃん!」  蓮はお祖母ちゃんに抱きついた。 「黒大蛇、封印が解かれておったのか」 「5000年前に封印したのですが、誰かが地上の岩を動かしたのです」 「それでぼくは穴に落ちたんだ。酷いことする人がいるね!」  蓮が憤慨する。 「蓮ちゃん、元気になってよかった」 「ミサお姉ちゃん、何者?」 「黒大蛇の番人よ」 「5000年も見張ってたの?」 「そうよ。絵の中から霊力で見張っていたの」  ミサはくすっと笑う。  
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