恋に落ちるまであと…

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恋に落ちるまであと…

 もしこの世界に特殊な能力を持つ人間が存在するのなら、他の人たちは一体どのような能力を持っているのだろう。  けれど多分、今のところ特殊な能力を持っているのは私だけな気がする。  友達も私を産んだ両親すらも“普通の人”である。一方で私には、まるで厨二病のような特殊能力が宿っていた。  その能力に目覚めたのは、幸いにも高校生に入ってからだった。  もし小さい頃にその能力を宿していたら、周りから冷たい目で見られ、親からは見放されていたかもしれない。  高校生になった今、この能力を冷静に分析して誰にも口外していない。  といっても、世界を救う力などではない。ただ、他人の“あること”がわかるだけの能力だ。 「美麻(みま)、あのさ…あたし、好きな人ができたかも」  そんなある日の昼休み。少し照れくさそうに話しているのは、同じ高校二年の友達である千秋(ちあき)。  長い髪はパーマを当てられており、ふんわりヘアーで、メイクもバッチリと決まっている。千秋は綺麗な大人の女性のようで、とても高校二年には見えない。  そんな彼女に好きな人ができたらしい。けれど私は、彼女に好きな人ができるということを出会った頃から“知っていた”。  残念ながら予知能力などではない。  ふと千秋を見ると、彼女の頭の上には私にだけしか見えないハートマークの枠が浮かんでおり、枠内には“Error(エラー)”の文字が刻まれている。  昨日の放課後に見た時には、“3 hour(3時間)”と時間が刻まれていた。さらに千秋だけではなく、教室を見渡せば、クラスメイト全員の頭の上に彼女と同じハートの枠が浮かんでいる。  そのほとんどには数字が刻まれており、“5 day(5日)”の人もいれば、“1 month(1ヶ月)”の人もいる。また、その数字は日が経つごとに減っていく仕組みだ。
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