恋に落ちるまであと…

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 どうして佐々木くんを好きになったのか。まず控えめに言って顔面がドストライク。モロ私の好みである。  くっきりとした二重瞼に切れ長の目、長い睫毛が印象的で、鼻も高いし肌も綺麗し顔も小さいし、圧倒的勝者の顔だ。 「美麻、そのニヤケ顔やめて気持ち悪い」 「いやだって佐々木くんがイケメンすぎて…どうして芸能界に行かないんだろう」 「本人が嫌なんじゃない? 美麻みたいに騒がれるのが」  本当に千秋は痛いところを突いてくる。どこか話しかけるなオーラを放っているように思える佐々木くんに、女子はほとんど近づけない。そのため一部では女嫌いという噂も立っていた。 「それでも私は! 佐々木くんの笑顔に心が奪われたの!」  きっかけは高校一年の球技大会の時だ。男女別でサッカーの試合が行われ、私が所属するクラスの試合相手の一人に佐々木くんがいた。  休憩中の女子はクラスの男子を応援していたけれど、その時に相手チームの佐々木くんがシュートを決めて、嬉しそうな笑顔を見せたのだ。  その笑顔に私は落ちたのである。さらに高校二年で同じクラスになり、たとえ形式的な会話だけでも、私の存在が認知されていればそれでいい。  一度だけ、『先生が呼んでたよ』と佐々木くんから声をかけられたこともあるし、これはもうクラスメイト以上の関係に発展したと言っても過言ではない。  きっとこの特殊能力さえなければ、私は佐々木くんに告白していただろう。残念なことにこの能力のせいで、私は告白する前から失恋が確定なのである。  佐々木くんの頭上に浮かぶハートの枠。  その中の時間が“3 day(3日)”となっていた。昨日は“4 day(4日)”と表示されていたため、確実に恋までの道のりを歩んでいる。
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