恋に落ちるまであと…

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「でも佐々木くん、良い感じの相手とかいないからなぁ…」  別に後をつけていたとか、ストーカー行為に及んでいたとか、そういうわけではないが、私と佐々木くんはたまたま帰り道が同じなのだ。  そのため“たまたま”彼と同じ電車に乗ることや、“たまたま”寄り道するために降りた駅が同じだったりしていた。  そう、決してストーカーのような行為ではない。本当にたまたまである。  けれどその時にも彼は一人で本屋さんに行ったり、誰かと会ったとしても男友達だった。  恐らく彼は3日後───  誰かに一目惚れをするのだ。良い感じの相手がいない場合、必然的に一目惚れとなる。  つまり私には勝算がある。彼が誰かに一目惚れをする直前に邪魔をすればいいのだ。ただ突然『奇遇だね!』と話しかける仲ではないし、嫌われてしまう可能性も大いにある。  それでも私は、彼の一目惚れを全力で阻止したかった。
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