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凉子さんの聴取は退院する前に再度病室で1回、退院後、警察署で1回の計3回行われたが、ほとんど雑談で終わっていた。事情も把握しているし、リアルタイムで映像を見ていたわけだから、今さら聞き出すことなんてないのかもしれない。2回目の聴取のときに美悠の手紙を渡した。美悠の思いや状況が公になってしまうことにほんの少し躊躇したけれど、なかったことにはできない。
凉子さんは「ありがとう。すぐ返すからね」と言って受け取り、その言葉通り警察署の聴取のときに戻してくれた。
全ての聴取を終えた後、詳しいことを知りたかったら春香に聞くようにと告げられた。私や柳君のことを知っているのだから、春香さんのことを知らないわけがない。事件について事務的にしか話さなかったこと、詳細を春香さんに託した理由を察すると感謝以外になかった。
どうするか考えていた。2人とも見つかり、事件は警察の手に渡った。これ以上、私が知ったところで何もできないし、変わらない。受け止められる自信もない。それでも、原田さんの身に起こったことや、どうしてあの人、愛梨が自分に呪いをかけることになったのか知りたいとも思う。
春香さんに会うと決めた。
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