母・心はいつまでも十代。でも実は半世紀生きた魔物(笑)

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母・心はいつまでも十代。でも実は半世紀生きた魔物(笑)

 なんでやねん(タイトル)  もうそろそろ母の本質が出てもいいんじゃないかと思いながらも、いや、ノンジャンルなんだからお腐れはひた隠しにとか無駄な事を考えている母。  今回は少しだけ腐れ要素があるかもしれないけど、主人公は『女』です。  いや女と言っていいのか分からないけどな(笑) ――― ガラスの靴(左)の独白〜ハッピーエンド〜  世の中は常に理不尽に出来ていると思うのは、私だけじゃないはず。何一つ思い通りにはいかないの。  魔法使いとは古い付き合いよ。それは魔法使いがまだ若い女だった頃から。あの頃の魔法使いは色んな意味でイタい女だったわ。  なんでも出来る魔法使いだったくせに、やけに靴に拘る女だったの。どんな世界でも、いざ靴が必要となればどこへでも渡って行ってたわね。まぁ、定住してなかったし、他国だろうが異世界だろうが問答無用で渡り歩いていたわね。  初めて魔法使いに会った時もあの女は私を『靴』として呼び出したのよ。その時私は左足用の靴だったわ。そして男だったのよ。みすぼらしい靴で、右足用の靴より少しだけ汚かったわ。  それでも魔法使いが「相方は溺愛系にしておいたわ」なんて言うから、その日から延々甘やかされ、愛されたわ。それこそ溺れる程に。  それに味をしめた魔法使いが「貴方はこれから右で固定ね」って言ったのよ。  どういう意味かわからなかったわ。だって私は左足用なのよ?そうしたら魔法使いはこう言ったの。 「ほら、この状況では貴方は右じゃない?だから右固定なのよ。理想の右だわ」  私達(靴)と向き合った女。確かに貴方の右側が私だわ。私達(靴)と向き合った時、正面から見て私は右側。でもよく考えて。その状況での右側は左足用なのよ。なのに魔法使いは『右固定』と言い切ったの。その時の私の性別は男だったわ。  ―――魔法使いの脳みそは腐ってるって事かしら。見た目が若くても十分ばばぁだし。  まぁいいわ。今生は女だし。これが最後って言ってたし。いいのよ。それは。  問題は左・・・いえ、右足よ右足。  一番最初に魔法使いは言ったわ。私の『右固定』は変わらないけど、相手・・・つまり左をその都度変えてあげる、と。  何度か魔法使いに呼ばれたけど、その時々で私の性別はまちまちだったわ。あ、もちろん靴なのだから性別が無いとか言わないでね。・・・要は気持ちの問題よ。  今までの相手はステキだったわ。魔法使いの魅了(チャーム)で私を溺愛してくれてたし、キャラだって、王子様だったり不良っぽかったり、優等生だったりスパダリだったり。  なのに今回は『俺様』。偉そうで常に上から目線で、毎度イラつくのよ。  それでも魔法使いの魔法でお互いを愛する運命だし、たとえ『俺様』だろうが溺愛だし。  それに今回は左・・・いえ、右よ。俺様は右足用なのよ。そうよ、そいつが城で迷子になった挙句、私を求めて試練を乗り越え、私の所へ帰ってくる、なんて素敵なシュチュエーションじゃない?そうすれば私だって、俺様だろうがなんだろうが受け入れていこうって思っていたのよ。  なのにあのおっちょこちょい。今回の私達の持ち主、シンデレラ。  置き忘れるはずの右の靴を履いたまま左の私を落としたのよ。バカじゃない?  いい?私は平凡なの。右足用と並べると見劣りするのよ。ちょっと見、わからないかもしれないけど、ガラスのプロなら直ぐにわかるのよ。―――ガラスのプロって何?って思うけど。  ほんのちょっとよ?カッティングとかくすみ具合とか、そんなもん。  でも能力は雲泥の差なの。  だいたい、世界に同サイズの足の女なんて掃いて捨てるほどいるのよ?それを誰かが取り違える度に左がほんの少しサイズを変えるのよ。ミリ単位で。狡いわ。姑息なのよ。  そんな事、私に出来るわけないじゃない。それなのにシンデレラってば、慌てるだけ慌てて私を落としたのよ!!  苦労したわ。ものすごく。  来る女来る女、シンデレラと同じようなサイズで、どうかしたら「私ピッタリ!」って言いそうじゃない?相手は正真正銘王子様なんだし。私の相手だった左の『雰囲気王子』とは訳が違うのよ。  まぁ私としてはそれでもいいかな、とか思わないでもなかったんだけど、如何せん魔法使いの魔法が効いていたのね。どうしても戻らなきゃって思ったの。  頑張ったわ。靴の中で足が踊るように、踵が入らないように。それぞれに合わせて自分のサイズを変えていかなくちゃならなかったの。  とうとうシンデレラの番になった時、泣くかと思ったわ。靴だしガラスだから泣かないけど。  本当に久しぶりに左・・・右足用に会った時は、もうこのまま俺様でも良いか・・・なんて思ってしまったの。 「そんなに俺様に会いたかったのか?可愛い奴め」  なんて飛びっきりの笑顔で言われて、スッと隣に並んだ時、あぁもう仕方ないわ、と諦めたわ。  これから先、シンデレラと王子の子、孫、子々孫々に至るまで、この城がある限り、私達ガラスの靴は城のエントランスで未来永劫、家宝として飾られるのよ。  まぁ、悪くない人生・・・靴生じゃない?  欲を言えば、それ程に長い時間一緒にいるのなら『俺様』じゃなくて、なんでも言うことを聞いてくれる『溺愛系スパダリ年下不良』が良かったんだけどね。  ―――それは隣には、ないしょ。 了 母の総評  くっっっっそ楽しかった。  あの、向かって右とか意味不明でどうやって書いたら理解してもらえるのか悩んだけど。でも楽しかったよぉ!  最近は暑くて暑くて死にそうになってみたり、家族サービスと称してドライブに出かけたり、「二十四時間耐久カラオケ大会」の二時間版を開催してみたり。  中々エブと向き合えない日々でしたが、これから!これからも頑張りますので、見捨てないでね。
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