彼の生きていた証

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彼の誕生日が来た。 彼も27歳になった。 「陽向、誕生日プレゼント何がいい?」 「うーん、そうだな・・・」 「あ、そうだ。 花純のウエディングドレスが見たい!・・・」 「え、それ本気で言ってる?・・・」 「もちろん。だめ?」 「いいよ、分かった。 じゃあ、それで一緒に写真撮ろ!」 私はまだ結婚してなかったけど、 ウエディングドレスを着ることになった。 たぶん、彼は、結婚出来ないと分かったから 形にだけでも残したかったんだと思う。 「きれー・・・」 彼は私に見とれていた。 「そんな見つめないでよ。恥ずかしい・・・」 「えー、いいじゃん」 「陽向もカッコイイよ、すごく、すごくカッコイイ!」 私は笑顔でそう言った。 「ありがとう・・・」 そう言って、今度は陽向が照れたように顔を伏せた。 2人の写真を撮ってもらった。 そこに映っていたのは、これまで見たことの無いような私の笑顔と、いつも通りの彼の明るい笑顔だった。
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