彼の生きていた証

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私は助けようとしたことがあった。 学校の帰り道、すれ違った人で、 今日死ぬのが分かった。 スーツを着たサラリーマンらしき若い男性だった。 今日死ぬなんて思えないような人だった。 「あの、今日、死ぬかもしれません」 そう声をかけた。 「はあ?何言ってんの?」 そう言い返された。 「突然すみません・・・」 当たり前だ。 信じるはずは無かった。 私は救えることができるなら、救いたいと思った。私はその人について行くことにした。 彼が信号待ちをしている。 すると、突然、車が勢いよく彼に目掛けて突っ込んできた。 その瞬間、時間がゆっくりになった気がした。 「え、まって・・・」 彼は即死だった。 その光景を見てしまった。 救えなかった。 後から分かったが、車を運転してた人が急に意識不明になっていたという。 その人の他にも、何人か助けようと試みた時があった。 しかし、無理だった。 運命は決まっているようだった。 それから私は、あまり人と関わらないようになっていった。 多くの人と関わってしまうと、 その人が死ぬことが分かってしまうかもしれない、と思ったからだ。
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