真夏の夜の夢

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 私は嫌だって言ったんだ、絶対に。  お化け屋敷は作り物、でも肝試しなんて。  しかも心霊スポットと呼ばれるような場所でそんな軽はずみな気持ちでなんか行っちゃダメだって!    「こんばんは~!!」  丘の上にあるキャンプ場、高校生活最後の夏休みの思い出作りに男子たちがキャンプをしているとの情報を聞いて。  夜になって何人かの同じクラスの女子と一緒に差し入れを持って遊びに行った。  ものすごく満月が青くキレイな夜。  木々が生い茂り小高いところにあるからかちょっと涼しい場所。  お盆の時期のキャンプ場はあまり人気が無いし人里から自転車で20分離れている場所で良かった。  男子20名女子10名ほどの総勢30名はいるだろう(うるさ)いばかりの高校生たちが占拠していても文句を言われることもなくて。  先に到着していた他のクラスの女子たちも花火をしたりスイカを食べていたりと盛り上がっていて楽しそうな様子に私もテンションが上がってくる。  「うちらも花火買ってきたよ~!後飲み物と蚊取り線香の差し入れ」  とテントの近くに置いて周りを見渡せば、見知らぬ男の子もチラホラ。  誰?と先に来ていた女の子らに聞いたら。  加藤君の東京の従弟だとか、隣の高校に通ってる子とか、知り合いの知り合いだとか。  まあ田舎あるあるだよね、知り合いの知り合いは皆友達ってわけで。  何となく自己紹介もないままに打ち解けてく。  皆で焚火を囲んで1時間もした頃かな。  「知ってる?山寺の話」  安藤君の話に私は顔を歪める、だってその目は好奇心旺盛に山の上の見えないを見つめていたから。
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