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「だったらハナだけ残る?」
何その究極の選択!!
山寺に行こうと言い出した安藤君を止める人は私と女子数人だけだった。
行こう行こう、と皆ノリノリで、私はそれに泣き出しそうになる。
出ると言われている場所に何で好き好んで行かなくちゃならないの?
怖い映画も一人で見れるしお化け屋敷だって大丈夫、でもガチの肝試しはダメ。
浮かれた人たちが行ったら良くないことが起きるかもよ、という親の教えだ、私もそうだと思う。
頭が固いと思われたっていい、怖いから止めようと引き留めたけど。
他の反対してた子たちも説得されてどんどん私側から離脱していって最後は気付けば反対は私一人。
「の、残れるわけないじゃん!!」
一人でキャンプ場にお留守番、そっちのがずっと怖いもの!!
「はい、じゃあ文句言わないで行くよ~」
来なきゃ良かった、家でテレビ見てゴロゴロしてれば良かった。
楽しそうな美帆は彼氏のリュウくんの袖に捕まりながら私を促す。
ねえ、美帆?
怖がってんのは私なんだから繋ぐのは私の手じゃないのか?!
薄情な親友の背中を恨みがましく追う。
あんたに誘われたから来たというのに。
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