真夏の夜の夢

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 キャンプ場から山寺までは舗装された黒いベタッとした目の粗いアスファルトが敷かれているのは昔この辺りで遠足をした私たちは知っていた。  あの時は昼間だから良かったけれど、今日は夜。  キャンプ場から少し歩くと外灯などない闇が先に広まる。    「こえー」  本当にそんな風に思っているのかってほど皆明るくて、腹が立つ。  3つしかない懐中電灯に群がるように固まって歩きながらお寺に続く階段を見上げて皆立ち止まった、自然にだ。  ポカンと口を開けて。  同じ場所を、寺の門の横にたつ大きな木の(うろ)のようなところに見えるかを。  そっと両隣を、周りの表情を見渡すと全員に魅入られてしまったかのように。  張りつめた空気の中で誰かが何か言ったらおしまいだと思った、のに。  「ねえ、あれって何に見える?」  誰かのその呟きに他の誰かがゴクンと唾を飲み込む音まで聞こえてくる静けさの中で。  「一斉に言ってみる?」  ああ、もう、だから嫌だったんだ、こんなことになったらどうしようって!  「せーのっ」  掛け声に。  「「「「「「「「「「生首ッ!!!!」」」」」」」」」」  全員の声が揃った瞬間、全員蜘蛛の子を散らすように一斉に逃げ出した。
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