31人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
だから嫌だって言ったんだ。
目の粗いアスファルトにうつ伏せになって泣きじゃくる。
遠くで友達の悲鳴のような声が遠ざかってく。
「待ってよ、待ってってば!!」
気付かない、もう届かない、私が逃げ遅れたことにまだ誰も気づいてない。
鈍くさい私は逃げる途中で何かに躓いた。
宙を舞ってすぐにビタンっとアスファルトの重力に引き寄せられて。
痛みと月の灯りしかない山道に一人。
支配されたのは痛みよりも恐怖。
「助けてってばあああ!!!」
私の悲鳴だけが木霊した。
最初のコメントを投稿しよう!