空蝉の術

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空蝉の術

四人の忍びは闇を駆けた。 その跡を葉月は追った。 四人は寺院へ逃げ込む様に、 入って行った。 追いついた葉月が陰から様子(ようす)(うかが)う。 四人の動きに・・・ 葉月は驚いた? 四人組は寺院内のなか辺りにて、 身体の力が抜けるように、 揺ったりと体が揺れた、 途端、 ばったりと倒れた。 葉月に緊張が(はし)る。 不意に、 真横の闇から葉月に向かって、 小さい針が複数飛来した。 間一髪、 葉月は左手に巻いていた、 鉄入り手甲で止めた。 月明かりが葉月に味方した。 月明かりによって、 針がわずかに光ったのであった。 「吹矢」 「動くと殺られる」 葉月は、身動きができなくなった。 そこへ、気配が近付いてきた。 葉月の後を追って、 加勢に駆け付けた、 水月が勢いをつけたまま、 暗闇に向けて、 八方手裏剣を複数投げた。 八方手裏剣は左右から同時に、 鋭い大円を描きながら、 暗闇に突き刺さった。 「風魔流・・・ 旋回」 その一瞬の間に、 葉月も八方手裏剣を複数投げた。 突き刺さる音が闇を木霊した・・・ 「殺った」 二人は警戒しながら暗闇に迫った。 「何これは?」 葉月が茫然(ぼうぜん)とした。 そこには、ぽっんと、 丸太が立っていただけであった。 近くの様子を二人で探るが、 気配が全く無い。 どこに消えたのかと想いながら、 寺院内を再び見ると、 四人の忍びが消えていた。 二人は困惑した。 「空蝉(うつせみ)の術」 水月が(つぶや)いた。 「気配を消された・・・」 「追跡は無理・・・」 「まだまだ修行が足りないね・・・」 「そうね」 葉月が答えた。 強敵だと二人は想い知らされた。 二人は屋敷に戻つた。 皆 が心配して待っていた。 葉月を見て沙月が声をかけた。 「怪我はないの大丈夫 」 子供じゃないんだからと、 葉月がふてた顔をした。 「小太郎なんて顔してるのよ」 「真っ青」と水月が笑った。 「敵を逃がしてしまったからな」 段蔵が言った。 「次は必ず・・・」 「闘いは続く」  「次は仕損じない」 「もう襲ってはこないだろう・・・」 「明日に備えましょう」 『翌日』 「殿 申し訳ございませぬ」  主水は松平左近に報告していた。 「麻薬の魔力に執りつかれた、  者の仕業であろう」 「薬改め役を葬れば事が、 済むと考えたのであろう、 愚かな者だ」 「しかし、刺客を放つとは、 かなり大規模の組織であろう」 「組織を探ってみます」
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