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隠遁の術
【甲府徳川家主要登場人物】
〇 徳川綱重 (二十歳)
甲府二十五万石藩主
頭脳明晰で五代将軍に一番近い
愛刀は長谷部国重
〇 新見備前守真信 (四十歳)
甲府徳川藩家老
愛刀は同田貫正国
〇 出浦盛清 (三十歳)
甲州流 透破頭
愛刀は獅子王
〇 出浦甚内 (二十歳)
甲州流継承者 透破
愛刀は獅子ノ子
『甲府徳川家』
浜にある桜田屋敷で、
甲府徳川家老 新見備中守真信は、
忍からのつなぎを受けていた。
西田屋を薬役が探っているため、
次の取引が難しくなる、
との事であった。
「どうしたものか」
「殿を将軍にするためには、
金が足りぬ」
「西田屋からの援助は、
どうしても必要だ」
「こちらから仕掛けるか」
「薬役の眼を撹乱させて時を稼ぐ」
「西田屋に恩を売っておくが得策か」
「遊ばせていた浪人をここで・・・」
翌日、新見備前守は、
四名の浪人たちを前にしていた。
集められた四名は、
各流派免許皆伝の武芸者であつた。
「林崎主水を屠れ」
「褒美は藩士として迎える」
「承知致しました」
「出浦盛清」
「金で動く忍4名雇入れ差し向けろ」
「陰からの援軍とせよ」
「畏まりました」
甲州流 透破頭 盛清は、
執務部屋に戻った。
「甚内」と呼んだ。
盛清は驚愕した。
甚内は盛清のすぐ近く、
真横に控えていた。
「松平の戦力を調べよ」
「承知」
「これで時は稼げるだろう」
「嗅ぎつかれては困るからのう」
「捨駒」
「のう甚内」
真横に控えていたはずの甚内は、
消えていた・・・
「この俺がいつ近づかれたかも、
解らず・・・」
「いつ消えたかも解らず・・・」
「全く一切気配を消す」
「恐るべき」
「隠遁の術」
新見備中守は綱重を、
将軍にすることを、
己の使命としていた。
そのためには、
どうしても、
軍資金が必要であった。
そこで西田屋との関係を持った。
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