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『今日もお約束キタコレww』
『ついに悪魔までで手を出しちゃう暗殺者!』
『大丈夫?下っ端ごときに悪魔なんか使役できるの?』
『もうこの時点で草』
『ルイアンタン?初めて聴くなその名前。ルヴィアタンのお友達かなんか?』
『なんでもいいからさっさとシロ』
『今日は部屋を爆発させないといいねwww ボロアパート追い出されないようにしろよwww』
『ていうかあんまり叫びすぎるとそれもヤバイよな、この間はうるさすぎて隣人に壁ドンされたんだっけ?』
『大家にガチ心配されてドアドンドンされたこともあるヨウチューバーとか草しか生えんわwww』
『楽しみー!』
イジリ倒してくるお約束のコメントを笑いで流しながら、彼は自宅アパートの薄暗い部屋で儀式を行っていく。いつもの幽霊やこっくりさん系も面白そうだが、今回も一味違ったスリルが楽しめそうだ。自分で実行するかはわからないが、私は彼が説明する儀式の内容をこっそりとメモしつつ食い入るように見つめる。
残り五分は、あと少しで魔法陣が完成し、そこから悪魔を呼び出しますよという直前であったのだ。そりゃ、後ろから声をかけてきた母親に怒鳴り返したくもなるというものである。いいところなのだから邪魔しないで欲しい。本物の悪魔の召喚を、安全圏から眺められるかもしれないなんて最高ではないか。最近は結構アサシンZもアタリを引く確率が上がってきているし、今回の儀式も成功したってなんらおかしくないのである。
「海花ちゃーん?本当に五分で準備してちゃんと電気消せるのねー?そろそろ寝る準備しないと間に合わないんじゃないのー?」
「だーかーらー!あと五分しかないんだから全部使わせてよ、いいところなのに集中できないじゃない!」
「いつもなんだかんだで十時過ぎるから言ってるんでしょ、約束守りなさいよね」
「だから静かにしてってば!」
そもそも十時就寝、なんて約束した覚えなどない。母が勝手に決めたことを、どうして子供だからという理由だけで無理やり従わなければいけないのか。実に理不尽だ。私はしっし、と振り返らずに向こうに向かって手を振りながら、画面にぐっと顔を近づけた。
『もうすぐ魔法陣完成です!みんな、メモ取れてる?これ、俺が友達から特別に教えて貰った召喚方法だから、きっとみんな知らないと思うんだよね。あとでこの生放送もういっかい見られるはずだけど、最近ヨウチューベもトラブル多いし……万が一ってこともあるから、しっかりメモしておくようにね!よし、できたぞお!』
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