魔法の言葉

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 __チーン。  遠くからレンジの音に呼ばれキッチンに戻る私の姿を、ルナはじっと見つめている。 「ルナー。出来たよー」  と、少し冷ましてからお皿に盛り付けてあげると「にゃー」と、一鳴きしてかはムシャムシャと美味しそうに食べている。  そんなルナを撫でながら、私はもう一度魔法の言葉を唱えた。 「……あと、五分待て」  すると、ルナの三角の耳がピクリと動く。 「私にとっても、魔法の言葉なんだよ?」  心が、どうしようもなく苦しい時。  現実(いま)から、逃げ出したい時。  __五分、待ってみる。  大きく息を吸い込みゆっくりと吐き出しながら、自分の鼓動の数を数える。  そして、この身体が生きているという感覚を全身で感じる。
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