旅の始まり

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物語の始まりは街の中で その街は東の王国パーシャデアの外れにあり そこには騎士が一人だけいた。 騎士の青年の名前はフレアス・オリフェードと いい、名のある貴族の生まれだった。 彼は正義感が強く心優しい性格で 騎士であることに誇りを持っていた。 「…フレアス! フレアスはおるか!」 慌てて彼の名前を呼ぶのは 街の領地を治める領主のグラジェーノ伯爵だ。 「私はここにいます。 今日はいつもと違って慌てていますが どうされたのですか? グラジェーノ卿。」 「急ですまないが、折り入って頼みがある。 いつもなら荒くれ者の鎮圧などの依頼だが 今回は違う、大物だ。 西の国の噂はもう知っておるな?」 「西の国というと…、最近で大規模な クーデターがあった場所ですね。 皇帝が暗殺されて帝国そのものが 成り代わったという噂は耳にしてます。」 「そうじゃ。その大事件を巻き起こした 者の名はレザベンド・アレクサンドル。 圧倒的な武力と組織力で 世界を牛耳ろうとしておるとのことだ。 そこで君には王様からの特命で レザベンド討伐へ行ってもらいたい。」 グラジェーノ伯爵は申し訳なさそうに 懐から王様からの命令書を出して フレアスに見せた。 印も紙も本物で直筆のサインまであった。 「…わかりました。私の力がお役に立てれるのであれば、今すぐにでも出発します。」 「では頼んだぞ。何か支援したいが この街には兵はおろか特別な武器もない。 地図とコンパスくらいなら渡そう。 それと街の守りの事は気にするな、 ここはそこまで治安は悪くない。 それよりも困っている人達の力に なってもらえればそれでいい。」 フレアスは地図とコンパスを受け取り グラジェーノ伯爵の屋敷を後にした。
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