砦に待ち受ける者

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三人がかりで攻撃を行うも ヴォランダロスはまだ余裕を見せていた。 隻腕から振るわれる剣は フレアス達にそれぞれダメージを与える。 双剣の連撃が多少効き目があったが なかなか致命打に繋がらない。 バティは ふと気づいた。 フレアスの銀の剣による攻撃で ちょっとずつだが騎士団長の鎧に 切り込みが入っていたのを。 閃いた策はこうだ。 フレアスが切り込みを入れ続ける。 ドロテーがヴォランダロスを足止めする。 アマンダが鎧を砕く。 バティの双剣で致命打を与える。 この策をそっと皆に耳打ちして伝えた。 フレアスは了解して剣を振るい続け、 ドロテーはうなづくと魔法を唱える準備をした。 「何か作戦でも思いついたか? 無駄なことを…。」 ヴォランダロスが呟きながら 反撃を開始してフレアス達を苦しめる。 バティとアマンダは 策が悟られないように時間を稼ぐ。 フレアスが切り込みを気付かれないように 何ヶ所か入れ終わると合図、 今度はドロテーが魔法を唱えていた。 "火炎の球体,, ファイアーボール 三発ほど撃ち込んで足止めをする。 案の定、魔法は片手ではじかれたが アマンダが素早く動いて 力を込めた一撃を鎧に叩き込んだ。 すると……、 バキッ、バキン! ヴォランダロスの高い防御力を誇る鎧が 割れて粉々に砕け散っていた。 「な! なんだと…!? 我の鎧が、これしきの攻撃で壊れるとは…。」 驚いて固まったそのチャンスを バティは逃さずに掴む。 斜めに十字を描きながら 策通りに致命打を与えていた。
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