砦に待ち受ける者

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「ぐおおぉぉぉ……!!」 大ダメージを受けたヴォランダロスは 唸るように声を轟かせ、 激痛により表情を歪ませた。 ここにきて初めてまともな攻撃が クリティカルヒットしたので バティが一気に畳み掛けようとしたが 次の瞬間、バティの視界が半回転して うつ伏せにぶっ倒れる。 何が起きたか最初はわからなかったが 見えない速さで振るわれた反撃をくらったようだ。 原因としては防具という重りがなくなり、 素早さが増したヴォランダロスが 本気を出したということはわかった。 上半身に傷を負い、劣勢ながらも なお、その剣の腕は鈍らない。 「我が鎧を壊したことは褒めてやろう。 だが、それで勝ったと思ったのなら大間違いだ。 剣や鎧が強かったから この地位につけたわけではない。 あくまでもこの実力があったからこそ 騎士団長を務めてこれたのだ。」 言い終わると致命打を与えたはずなのに また距離を詰めに接近して加速してくる。 アマンダがなんとか隙を作ろうと 拳ではなく蹴り技を見せるも 自分の動きよりも速くかわされて 突き出された肘をモロにくらってしまい、 衝撃で吹っ飛ばされた。 バティがアマンダを 倒れないように受け止める。 敵は確実に弱ってはきているはずで 後はどうにかしてとどめを刺すかだけだった。
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