決戦までの過ぎ行く時間

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リーサはドレイクが食堂からいなくなるのを 見送った後に入れ替わるように入ってきた メーティアと話していた。 リーサは少し前までは普通の街に住む 酒場の看板娘だったが、 レザベンド軍が街を襲撃して 唯一生き残ったのが彼女だけだった。 殺される間際にレザベンドの目に留まり 絶対服従を条件にリーサは城で働き始めた。 それからメーティアがメイドになったので 仕事的にも年齢的も先輩にあたる。 「リーサさんはドレイクさんと 付き合ってるんですか?」 リーサは突然の質問にコーヒーを 噴きこぼしそうになったがこらえた。 「貴女には言ってはなかったけど 最近付き合い始めたのよ。 ドレイクのほうから 私に好きだってアタックしてきたわ。」 「やっぱりそうだったんですね! なんというかラブラブ?な感じが 二人から漂ってて気になってたんです。」 「そう言うメーティアは 誰か好きな人はいないの? 例えばゼノバードさんとか。」 「え? わ、私ですか? 私は…、ゼノバードさんではなくて レザベンド様に思いを寄せてます。 いつも鉄仮面を着けてますが、 偶然、素顔を見てしまったその日から 一目惚れしてしまって。」 リーサはそれを聞くと複雑そうな顔をしたが 落ち着いて直ぐに表情を元に戻す。 自分にとってレザベンドは全てを ぶち壊した張本人だが、 メーティアにとっては奴隷生活から 救い出してくれた命の恩人なので そうなるのも無理はないと納得した。 「私は貴女の恋を応援するわ。 振り向いてもらえるまで 頑張りなさいよ?」 「はい! 近いうちにこの好きな気持ちを レザベンド様に伝えます!」 よしよしとリーサはメーティアの頭を ポンポンと撫でてから 食堂から出ることにした。
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