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…
バティは双剣の片割れを茂みから回収すると、
大地に横たわるドレイクを見降ろしていた。
「畜生…、完全に俺の負けだ。
どうした? とどめを刺してもいいんだぜ。」
「遠慮しとくよ。
それにお前さんには愛する彼女がいるんだろ?
彼女の名前はなんていうんだ?」
「なんでそれを知って……、
まあいいや、彼女の名前はリーサ。
俺にとって生きる喜びを感じさせてくれる
最高の女性なのは間違いねぇな。」
攻撃の瞬間にバティは
ドレイクよりも速く剣を動かして、
ヒビの入っていた鎧の脇腹を切ることで
振るわれる大剣の軌道を変えていた。
「リーサか、良い名前だ。
生き残ったら彼女とどこか静かなところで
ゆっくり暮らすといいぞ。」
バティはドレイクに薬草を渡すと
自分の傷を癒しておいてからその場を立ち去る。
随分と時間がかかったがフレアス達を
追いかけに階段を上がった。
「へっ、俺の目に間違いはなかったな。
気の良いやつだぜ…。」
ドレイクはそう呟くと薬草で回復する。
負けて悔しいはずなのになぜか彼は満足していた。
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