それぞれの戦い

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ラウルはドロテーがここまで戦えるとは 予想外だったのか、奥の手を使うことにした。 「僕より明らかに魔力が弱かったはずなのに、 こんなに強い力を持っていたなんてね。 どうかな? 僕と一緒に来ないかい? 君が僕の仲間になれば怖いもの無しだよ。」 ドロテーにバレないように 相手を石化させる魔法をラウルは唱えていた。 このまま戦えば自分の命が脅かされる、 ここで始末しておかないと危険だと思ったからか 卑怯な手を彼は平気で使う。 「…貴方の仲間なんて死んでも御免よ。」 ドロテーの答えは決まっていた。 「それは残念だね…、 君とは仲間になれたら良かったけど そうならないなら僕の魔法で! 君を…!」 ラウルの石化魔法が発動して ドロテーに効果が作用する瞬間だった。 石化魔法が跳ね返り、逆にラウルが 段々と少しずつ石化しだした。 「…えっ? …魔法が跳ね返った?」 ドロテーが自ら跳ね返したわけではなさそうだ。 「どうしてだろう…、 悪い事をした罰が下ったのかな? まあ、こうなる運命だったのかもしれない。 実力も精神力もドロテー、君のほうが… 僕よりも上だったね。」 先ほどとうって変わって 穏やかな表情になったラウルは悟るかのように 目を閉じると石化してしまった。
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