それぞれの戦い

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アマンダがリーサと戦っている頃に フレアスは四階を探索していた。 探索してきた扉は全部 鍵はかかってなく開いたのだが、 今しがた調べたこの扉だけ鍵がかかっていた。 取られると良くない宝、もしくは 武器や防具がある可能性も無くはない。 フレアスは好奇心から扉をノックしてみた。 コンコン…。 「はーい、今行きますから 少々お待ちくださいませ〜。」 誰かいる。しかも若い女性の声だ。 メイドのメーティアは 自室で言われた通りに待機、大人しくしていた。 レザベンドから何かあればノックすると 聞かされていたので素直に扉を開けた。 「あれ…? 貴方はレザベンド様じゃない…。 あ、お客様ですね? 温かい紅茶がありますので よかったらどうかお召し上がりください。」 「ご丁寧にありがとうございます。 せっかくですので頂きます。」 フレアスは出てきた可愛らしいメイドに 驚きつつも敵意はなさそうなので 差し出された紅茶を飲んで一息ついた。 おかしい…、ここは敵陣のど真ん中のはずだが この子はとても優しく戦いには無縁そうだ。 そう思いながら紅茶を飲んでいても 怪しいところは一つもなかった。 入った部屋を見るに宝や武器防具類は無く、 女の子らしい家具やぬいぐるみが 置いてあるだけだった。 「お客様は騎士様ですね、今日はどういった ご用件でこちらへ参られたのですか?」 フレアスは返答に迷った。 このメイドのご主人様は間違いなくレザベンド。 レザベンドを倒しに来たと言ったら 落ち込んでしまうに違いない。 「要件は秘密です、 どうしてもやらねばならないことですので 残念ながら貴女には言えません。 紅茶、美味しかったです、ご馳走さまでした。」 「かしこまりました、 秘密のご用件でございますね…!」 フレアスは紅茶を飲み終わると メーティアに礼を言ってから扉を閉めた。 おそらくレザベンドはあのメイドの子を 戦いに巻き込ませないために 部屋で待機させていたのだろう。 少し寄り道をしてしまったが 奥の方にあった階段を見つけたので 上の階へ向かうことにした。
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