少年グルゾ

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しかしグルゾはとても賢い子だった 5歳になったばかりなのに自分が奴隷商に売られたら家族が楽になると考えていたのだった グルゾは泣きたいのを我慢し、聞き分け良く奴隷商に売られたのだった 奴隷としての生活はとても苦痛だった 飯は1日2食、その両方ともが残飯のようなものだった グルゾ達は“商品”なので毎日水浴びはさせてもらえた 寝床は毛布の一つも無く寒い冬を奴隷達と身を寄せて過ごした 他の奴隷達は皆が死んだ目をしていた 奴隷の最年長は19歳の男だった 彼が言うには男は20歳、女は15歳までに売れなければ殺処分されるらしい その男は自分は確実に売れ残るだろうから…と言って諦めたようなそして達観したかのような目をしていた グルゾは思いの外早くに買われた 買ったのは学者だった グルゾは初めて見たとき優しそうな人だと思った 奴隷商(ご主人様)とその学者は楽しそうに話していた 「グルゾ、挨拶をしろ」 奴隷商(ご主人様)に呼ばれた、行かないと 「グルゾです、5歳です」 買ってもらわないと 殺されるなんてまっぴらごめんだ 「グルゾ君か…礼儀正しい子ですね」 学者は優しく微笑み僕の頭を撫でてくれた 好印象なら良かった… 「フィリップ様、この奴隷をお買い上げになりますか?」 「値段はいくらだったかな?」 「値段は金貨20枚となっております」 学者は顎に手を添えて考えている 「…その値段で買いましょう」
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