少年グルゾ

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奴隷商(ご主人様)が驚いた顔をしている どうしたんだろう? 「フィリップ様、珍しいですな」 「何がだい?」 「いえ、“普段”なら値引きをなさるのにと…」 奴隷商(ご主人様)は“普段”値引き交渉をするフィリップ様が値引き交渉をしなかった事に驚いているのか ん?“普段”…? 僕がその言葉に疑問を抱いている間に話は進んでいく 「ふふふ、彼には何か感じたのですよ」 「はぁ、感じたですか…」 「ええ…」 奴隷というのは一生に一回買うか買わないかの物らしい 金貨1枚が庶民の約2年分の給料らしいから、僕を買うのも庶民だと40年は働かないと買えない金額だ グルゾは読者が期待するような転生者ではない グルゾはまさしく神童と呼ばれる頭脳を持っていた 5歳にして地球で言う中学生クラスの計算は完璧で、言葉も読み書きが完璧だった 誰にも習っていないのに、だ 商人にでも引き取られれば奴隷であっても跡継ぎとして育てられていた可能性もある程だった しかしそんなグルゾでも奴隷商が言った“普段”という言葉の意味は読み取れずにいた 「…しっかり金貨20枚いただきました、グルゾはフィリップ様の奴隷です」 奴隷商がそう言い、僕の左手の甲に手をかざす 手の甲にあった“奴隷紋”が消え、一瞬で新しい奴隷紋が出てきた 奴隷紋の話はまた今度でいいかな 「ありがとう、グルゾ君行くよ」 「…あ、はいわかりました」 フィリップ様(ご主人様)は僕を連れて奴隷売り場を出た これからどんな生活が待っているのか楽しみだ!
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