九月七日(月)

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九月七日(月)

 車のブレーキ音と共に、衝撃音、そして何かが潰れる音が辺りに響いた。  目の前に広がる光景に、目を(つむ)りたいのに、その暇は無い。親友の身体は、既に無残にコンクリートの地面に叩きつけられていたから。  彼の顔がこちらを向いて、片方残った瞳が、非難がましく俺を見る。  ――どうしてこうなってしまったんだろう。  今更考えても遅いのはわかっていた。その深く開いた黒い目を見れば、彼の命が、こと切れていることくらいわかる。それでも、考えずにはいられなかった。  煩雑(はんざつ)な思考の中でまず思い返したのは、今日の放課後、同級生たちがしていた会話だった。
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