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何て二週間だったろう。
これだけ頑張って調べても、結果は変わらなかった。
笹岡は目の前の選択肢を捨て、自分の美学のために死にゆく。
電車が国分寺に着き、下車しながら、そんなことを考える。
けれど、まだ俺にできることが残っているかもしれない。
学校に到着するが、当然の如く北棟に生徒の影は無い。
時間的には三時を過ぎた辺りで、演劇祭の結果発表が終わる時間帯だ。
急いで講堂へと向かった。
逸る気持ちを押さえ、正門から校舎の左を塀にそって進み、南棟の脇を目指す。
講堂の入り口には『第三十回演劇祭』の立て看板があった。
微かなざわめきが、開いた扉を伝って聞こえてくる。
円形に広がるホールを通って、観客席の最後部に繋がる、三階の出入り口へ向かう。
ゆっくりと扉を開けると、ちょうど、優勝の結果発表の瞬間だった。
先ほどまで聴こえた波のような声が、嘘のように凪いでいた。
講堂内が静まり返る中、俺が扉を開く音と、演劇部部長のアナウンスが重なる。
「優勝は……―」
間があった。
生徒たちは固唾を飲んでいる。
ある者は手を組んで祈り、ある者は脱力した姿勢でステージを眺めている。
誰もがーー希望を持つか、絶望を抱くかは違ったがーー結果のことについて考えていた。
まごうことなき、演劇祭の最期だった。
「三年七組!」
その瞬間、講堂の前方席の、三年生の一団が声を上げた。
生徒たちは互いに抱き合って、大きく手を突き上げている。涙を流すもの、笑顔のもの、その表情は多様だった。
講堂中ほどにある、二年四組の方に目を向けた。
クラスメイトたちは、皆一様に柔らかい表情で結果発表を眺めている。
笹岡の表情は見えなかった。
奴の背中は、何も語らない。
ただ、背もたれに背を預けているばかりだった。
俺はただ、その光景を見つめることしかできなかった。
三年で、たった一度。それが今終わったのだ。
ただ、拍手の音だけがホールに響いていた。
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