2丁目豆屋のハムタロー

2/37
13人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
さて、しかし。「それでは就任の挨拶かたがたご機嫌を伺っておいで」と、近所の神社や商店、個人宅で祀られている神様方のところへ初のお使いに出された折のこと。 新参の神使のこと、行く先々ではやはり、それぞれの御祭神の神使である動物たちが対応してくれたのだが。 真っ先に参上した氏神神社では烏と鶏に含み笑いで眺められ、居酒屋の3匹には「ああ、ハムタローだねえ」と早速あだ名をつけられ、スナックでは狐に「じゃあハムちゃんだね!」とやはり愛でられた。というか転がされて遊ばれた。最後に伺った町医者の白蛇、明星(アカボシ)だけが総勢の微笑ましい対応の理由を明かしてくれた。 「公太朗…かや。そなた生前の名は?ハム太郎?なるほどのう。ハムタロウだから公太朗とは、相変わらず豆清のは当主に似て、心持がゆるくてあるな…」と。 そうして結局、公太朗は御町内の神々と神使からは生前とほぼ変わらぬ呼び名、ハムタローとして認識されるに至った。彼らに会うたび、もっちもちに撫で転がされるなど、それなりに愛されている。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!