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先輩の右横に立てたと思った瞬間。
ワッと歓声が上がった。
「勝った! 赤団勝利だ!」
先輩が両手を大きく振り上げた。
飛び上がって狂喜した。
上がったその腕が。
両脇に居た者の肩に降りてきた。
触れた仲間の肩をぎゅっと抱いた。
肩をぎゅっ、とされた。そのあと。
わたしの胸がぎゅううんとしびれた。
わたしの肩に先輩の腕がある。
憧れて、少しだけ近づきたかった先輩の。
先輩の腕の重みが、わたしを震えさせる。
嬉しくて。去ってほしくなくて。
でも自分に自信が持てないわたしのこの戸惑い、ステキな先輩に知られたくなくて。だから、この腕に狼狽えている。
でも。
神さま。
あと五分。
どうかこのまま、居させてください。
……五分も。
ムリ、ですよね。
「なんか言った?」
わたしの肩に手を置いたままの先輩が、わたしに微笑みかけてきた。
神さま。あと五分。
こうして見上げてて、いいですか?
おわり
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