そんなこと、忘れていい。

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 向かったところは研究棟の一室だった。 俺を迎え入れてくれたのは、ユキよりは少しだけ年上っぽい研究員の女性だった。 報酬に関する誓約書とともに、危険行為放棄同意書にサインした。 もぅ、やるしかないだろう。 『じゃあ、説明します・・。』 そう言って、俺の身体を使った臨床試験が始まった。 さらに奥の部屋に連れられた先には、教授らしき年配の男性がいた。 そして、 手に持ったフラスコに入った薬剤を俺に差し出し、 「まずはこの青の薬を飲んでもらいます。 次いで、 赤い薬を飲んでもらいます。 では、身体のなかでどのような変化が起きるでしょうか。」 変化って、被験者の俺にはそんなこと言われてもわかるわけない。 「まぁ、簡単に言うと、身体の中で紫色になる。 そんなこと、小学生でもわかることだな。」 ・・なんだよそれ。一瞬だけど、少しバカにされたような気持ちになる。 「ただ、身体で紫色になる効果についてはどうかな? ただひとつ言えることは、私の理論に基づいた創造力は完璧だ。 発動したい時のトリガーとなるものは、自分の拳と太腿だ。 拳で自分の太腿を思いっきり殴る。 それで発動する。」 本当に出来るのかどうか半信半疑だが、俺には迷いはなかった。
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