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14話 銀貨の価値 後編
交易都市クーヨン
外周城壁が四角く囲い、 内周城壁は円形に囲まれている。
内周城壁には東西南北と4つの門があり、南門から伸びるメインストリートは、商店街となっている。
北門から伸びるメインストリートは、騎士や兵士の詰所であり、東西は住宅街のメインストリートとなっていた。
そして、私は4つのメインストリートが交差する中心部の広場にいた。
さて、銅貨はあと95枚、最低限の質の外食なら一ヶ月は持たせられるな。
広場の隅に座り込み、空を見上げる。
…
……
………
俺は…僕は…私は…いったい何をやっているんだろう。
エリーに買われて一ヶ月と少し、 自分の居場所を守る為、環境を受け入れた。
この世界に来たばかりの孤独感と、飢え死にしそうな絶望感はもう御免だからだ。
ああ、力が欲しい…
この世界を駆けれる力が…
目を閉じる。
…
……
………
よし、もう大丈夫だ。
今はアリスとして、この都市に慣れよう。
ただ流されて過ごす為の、銀貨1枚じゃない。
いつか自由になる為の知識に、投資するのだ。
そして、立ち上がると広場の一角にある豪華な建物の前に来た。
4階建の他より豪華に見える建物が、気になったのだ。
そして、入り口には看板が掲げられている。
…月乃亭
宿屋のようだと思いながら、扉を開けて中に入る。
赤い絨毯が敷き詰められ、一目で一流ホテルとわかる作りをしていた。
場違い感が凄いなと思い、立ち止まっていると、私とは違うタイプのメイド服を来た女性が、こちらに駆け寄って来た。
「どちらの貴族様の遣いでしょうか?」
どうやら、ゴシック調のメイド服を着た私を、貴族様の遣いと勘違いしたようだ。
だから、私は…
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