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ルームシェアは 親からきつく反対されていた。 でも、東京の某マンションは、 すごく魅力的な物件だった。 駅には近い コンビニは近い セキュリティは良い 陽当たり良い 新しく某大手会社に就職した記念だからと 親に土下座。 ようやく許可がおりた。 ひとつ条件をつけられたけど。 「決してルームメイトに心を許さないこと」 今の世の中 「だまされる方が悪い 自己防衛の時代」だからだ。 一緒に部屋を借りるのは 中学からの親友だから、 お互いよく知ってるし親同士も仲が良い。 だから許可がおりたって所もある。 一人目は、 医者の息子なのに何故か医者をやらず 親のスネかじってバイトで暮らす 「王真」(オウマ)。 王真の家は 王真の奴を甘やかしまくっているので 簡単に部屋代と一緒に暮らす許可をだした。 そしてもう一人は 作家志望の「樹」(イツキ)。 けっこうぽつぽつと自費出版本を出して マメに稼ぐ男だ。 樹はもう自立していて 東京の某所に住まいを借りていたのだが、 こっちの方が条件が良いと、 この企画に乗ってきた。 王真「よくこんないい物件見つけたな」 自分の部屋に 大きなダンボール箱を運びながらつぶやいた 萌谷「いいだろう? 俺に感謝しろよ」 ビリビリと新聞紙の包装をやぶいて 食器を取り出す俺 王真「うん、ありがとう。さすが萌谷だ」 にっこりと微笑んだ顔がグラスに映る 萌谷「おだてたって何も出ないぞ」 王真「・・・てか、 今感謝しろって言ったじゃん」 萌谷「・・・まぁ、そうだな。 じゃあ感謝して」 こんなボケツッコミの仲は 中学から変わらないなぁ・・・ 居間の扉が開いた 樹「流石でございます☆我が姫君☆☆☆」 重たそうに大きな包みを持ってくる 萌谷「なにそれ?」 樹「近所に配るんだよ。 引っ越しソバがわり」 ドサリとおろした包みの中には 自分の本がどっさり 王真「売れ残りじゃん」 王真があきれた 樹「知らぬが花。CMになるでしょ?」 パラパラとめくるハードカバーの小説は 俺も読んだことがある 一言で言うと普通の推理小説なのだが 斬新な表現、派手な演出、大胆な手口が 俺は気に入っていた 萌谷「まぁ・・・ 俺、準備してなかったし頼むわ・・・」 樹「うん☆声うるさかったら すいませんってね☆☆」 萌谷「声ってなんだよ! こ え って!!」 王真「萌谷・・・声デカイよ・・・・・」 2人を正座させ、定規を鼻先に突きつけた 萌谷「いいか、最初に言っておくが ここでの恋愛は禁止だからな!!!」 樹が定規の先をぺろりと舐めた 樹「うん、ていうか、 俺たち三人とも男だから ここじゃなくても肩身狭いと思うよ? ・・・ねぇ?」 王真「そうだな・・・・・ もし、誰かと誰かがくっついたら 余った奴は 居づらくなるよな・・・・・・・・」 樹「抜け駆けナシってことだね☆☆☆」 王真「ああ」 正座男二人顔を見合わせてうなずく ・・・な、なんか話が微妙にそれてない? ・・・・・本当に俺の話は 伝わっているのだろうか・・・・・・・ それはきっと 神のみぞ知る・・・・・・・・・
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