3人が本棚に入れています
本棚に追加
8月8日。
今日は二人で海に行った。
でも海水浴場じゃないから泳げなくて、波打ち際に足をつけて遊んだだけだった。
・・・まずそもそも水着も持っていなかったのだけれど。
それから岩場に行って、ヤドカリをみつけてはしゃぐ彼女を見て楽しんだ。
バランスを崩した彼女の手を掴むと、えへへ、と恥ずかしそうに彼女が笑う。
危なっかしく、でも楽しそうに岩場を歩く彼女の後ろ姿は忘れない。
気をつけなよ、という僕の声にはーいと返して何も変わらない様子で歩いていく。
何も気をつけてないじゃないか、と呆れながら、何かあったらすぐに助けられるようにと、彼女の後ろを歩いた。
こんなところ、子供の時から来ていないなと、懐かしく感じていると、いつの間にか立ち止まっていたらしい。
彼女との距離が随分と離れていた。
彼女が駆け寄って来るのを制しようとしたが、時すでに遅し。
つるんと滑って水たまりに尻もちをつく。
びしょびしょになった彼女を苦笑しながら助け起こす。
何をしているんだと言うと、ついてこないのが悪いと怒られた。
理不尽だと思うのは僕だけだろうか。
とりあえずお詫びに今度ジュースを奢ることで話はついたが、ぷりぷり怒っている彼女をなだめるのは少し骨が折れた。
全く、こんな状況でも楽しいなんて思ってしまうのはどうしてだろう。
不思議な気持ちだ。
8月8日。
今日は二人で海に行った。
最初のコメントを投稿しよう!