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8月2日。
今日は彼女とデートの日。
「お詫びにこの街を案内してあげる。」
そう言われて大人しく約束したのはどうしてだろう。
なんとなく、彼女の真っ直ぐな瞳に惹かれたのだ。
5分だけ早く行ったら、彼女は5分遅れて待ち合わせ場所に来た。
怒ろうと思ったけど、ボサボサの髪、目の下に出来たくまを見たら、怒る気にもなれなかった。
その日は一日この街を見て回った。
毎年来ているこの街も、彼女と一緒なら違う街に見えた。
・・・回ったのは全部行ったことのある場所だったけれど。
それを伝えた時の彼女の愕然としたような、少し怒ったような表情は傑作だった。
一生忘れられないだろう。
一晩中考えてほとんど寝てないのに、と理不尽に怒られたけれど、それすらも楽しかった。
それから、明日も会うことになった。
明日は絶対に知らない場所に連れて行ってあげると意気込んでいた。
なんとなく、彼女との関係が終わらなかったことにほっとしている自分がいた。
8月2日。
今日は彼女とデートの日。
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