8月3日

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8月3日。 今日はリベンジ。 どうせまた行ったことのある場所だろうと思いつつも、どこかワクワクしている自分がいた。 彼女と見る景色は、不思議とどれも綺麗だったから。 今日も5分早く待ち合わせ場所に行くと、もう彼女はいた。 汗でびしょびしょの彼女に、いつからいたのかと聞くと、1時間前からだと言う。 呆れて何かを言ってやろうとしたが、今にもどやぁと聞こえてきそうな彼女の顔を見て、吹き出さないようにするので精一杯だった。 こんなにあからさまなドヤ顔を見たのははじめてだった。 きっと、この表情も忘れない。 結局、シャワーを浴びて着替えてからもう一度集合することになった。 何がしたかったんだか。 呆れたけれど、なんだか妙に楽しかった。 その日回ったところも、やっぱり行ったことのある場所だった。 それはそうだ。毎年毎年この街に来て、滞在中は毎日散歩に出かけているのだから。 それでも、もういいよと言わなかったのはどうしてだろう。 ・・・言えなかったのは、どうしてだろう。 その答えは、心の中にしまったままだ。 8月3日。 今日はリベンジ。
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