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二人は海岸から背の低い木々や背の高い雑草が生い茂るジャングルに分け入って、神獣島の頂上ともいうべき死火山の火口を目指して道なき道をゆっくりと進み始めた。
予定では明日6月21日の朝までに到着すれば良いので時間はあったが、島は当然無人で全く明かりが無いため、遅くとも夕刻までには頂上にたどり着きたかった。
***
ジャングルに分け入り、頂上目指してやや急な斜面の登りにさしかかったところで・・・
「しかし・・・強化運搬服を着ていて荷物は軽いとはいえ、暑いな!」
ブラーウ船医が顔の汗をぬぐいながら少々泣き言を言った。
「しょうがないじゃない、先生!アタシの方が大変なんだよ!先頭で余計な草木を切りながら進んでいるんだから!」
頬を伝う汗をそのままに、オレージナは草木を刈るための万能鉈を振り回した。
「・・・でも、ちょっときついね!休もうブラーウ先生!」
オレージナはそう言うと万能鉈を木の幹に切りつけたままにして、強化運搬服の自動ミニチェアを出して、その上に腰を下ろした。
「ああ、助かるよ、オレージナ」
ブラーウも同じく自動ミニチェアを出して腰を下ろし、船員手ぬぐいで顔をぬぐった。
「そう言えば・・・ボーリボード町の先生の医院は、今は助手のノーナさんが開いているんだよね?」
オレージナも同じく船員手ぬぐいで・・・今回の行程を予想して顔に化粧はしてこなかったが・・・顔の汗をぬぐった。
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