第二章 大海原をゆく船 第二節 神獣島と咆哮岩礁 その3

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 今夜は飯盒(はんごう)を使用した缶詰の魚貝シチューと缶詰の堅パン、そしてそれぞれ小さな瓶のラノム酒であった。  ブラーウはシングルバーナーに飯盒を載せてシチューを温め始めた。 「それじゃ、明日の朝遅くまではゆっくりできるな・・・お疲れ様、カンパイだ!」  ブラーウがラノム酒の小瓶を差し出すと、オレージナも小瓶を差し出してカチンとぶつけた。 「ブラーウ先生もお疲れ様、カンパイ!」  二人はラノム酒の小瓶をグイをあおる。  神獣島の頂上は思いの他静かであり、今夜は強い雨や風はないようで、段々と黒色が濃くなってくる空には白い粉を振りかけたような星が見え始めた。  二人は、テントの前に置いた小さなアルマイトテーブルを挟んで、小さなドラムチェアに腰かけていた。  アルマイトテーブルの上にはミトコンドリアランタンが置いてあり、割合明るい薄緑色の光を放っていた。 「ところでオレージナ、ミトコンドリア葉緑体電気義足の調子はどうだい?」  ブラーウは本日、初めてオレージナの義足を心配した。 「うん・・・どうも久々の斜面の登攀で両足の膝と足首がなんだかガクガクするね・・・また明日の朝、明るくなったら診ておくれよ」  オレージナはそう言いながらやや広げた足の両膝のあたりを手でグリグリとこね回した。 「わかった・・・昼はすまなかったな・・・愚痴を言ってしまって・・・」  ブラーウは小ぶりの取っ手付き深皿にシチューを装い、オレージナに渡した。 「ありがとう・・・アタシこそ言い過ぎたかも・・・」オレージナはシチューを受け取ると早速一口スプーンで頬張った。 「うん・・・割合ウマイね!この缶詰シチュー」 「そうか、厨房での選択が良かったか!」ブラーウは少し笑顔になった。 「・・・で、ブラーウ先生、昼間の休憩の続きの話だけど」  オレージナは少し真顔になって切り出してきた。
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