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本当に、それは一昨日のことだったのに・・・今、海の表情は・・・全くの別人のようであった。
「そうだ!そういやー!昨日の夜、人造娼婦のヴェルデのヤツがガラクタを抱えて通路を歩いていたのを見たよ!」
スーレーの横でスラスターの制御を担当しているカッパードが思い出したように口にした。
「なんだって!? 誰がアイツを個室部屋から出したんだ?!」
伝声菅からレッドンの声が響いた。
「!!・・・まだ、調整中としていたはずだぞ?!一体誰が?」
医務室で怪我人が出てくることに備えて待機しているブラーウ医師が一人つぶやくように叫んだ。
そして、その頃、一人厨房にいるグリンドーは大揺れの船の中でも落ち着き払って乗組員の昼食の用意をしていた。
「・・・破壊工作か?・・・フン!・・・面白くなってきやがったナ!」
こんな大嵐の中なので、皆、朝も昼も食事を摂ることを忘れていたが、体力を持続するためにはイヤでも食事を摂らなければいけないことは彼が一番良く知っていた。
彼が作っていたのは・・・携帯に便利な東洋の神秘国シャポン国のパワー食”おにぎり”であった。
そして───大シケは午後になっても相変わらず凄まじい大雨と大風がやまず、うなりを上げる大波が走砂艇ドマーロに繰り返し襲い掛かっていた───
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