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第二章 大海原をゆく船 第一節 破壊工作 その2
まだ──そこそこ大きなうねりはあったが、強い風雨はほぼ無くなり、波間のところどころに薄い太陽光の柱がちらほら見られるようになったのは、嵐の日の午後3時過ぎのことであった。
疲労困憊した乗組員達はブリッジに集合することもせずに、それぞれの持ち場でへたりきっていたが、突如、伝声管に大きな声が響き渡った───
「サァ!みんな、美味い昼飯が待っているぞ!ブリッジに集まってくれ!」
一人元気な料理番グリンドーの声であった。
「やれやれ!元気がいいこった!」
機関士のレッドンがぼやいたが、水夫のスーレー、カッパード、船医のブラーウがのそのそとブリッジに集合してきた。
しかし、お目付け役のはずのフェルト助役は現れなかった。
「フェルトさんはどうしたか知らないか?」
プラチ船長は薄紫の縦のアザの顔を青白くさせながら、ブリッジに集まってきた船員の面々を見渡す。
「さあ?」レッドンは心ここにあらずのようであった。
「あ──、船長、さっき客室を覗いたら、ベッドの上で呻いていましたヨ」
カッパードが力無く答える。
「そうか・・・初めて航海する者にとっては相当辛かっただろう」
船長のパプラは同情するように言った。
「それに引き換え・・・ブルアン坊っちゃんは元気なこった!大したもんだ!」
グリンドーは、シャポン国のパワー飯"おにぎり"を満載した大皿を持って、乗組員一人一人のところを回っていった。
「ありがとう・・・でも、本当はフラフラなんだ」ブルアンはおにぎりを1個取った。
「すまない」パプラ船長も1個
「グリンドー! 一杯やりたいよ!」オレージナも1個
「すまんね」ブラーウ医師は小さいものを1個
「おう、すまねえ」レッドンは2個
「どーも」スーレーはなんと3個
「オレも一杯やりたいヨ」カッパードは1個
・・・それで終わりのはずだった・・・のだが・・・
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