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「お前は、どうやって個室部屋の自動販売機棺桶から出てきたんだ?!昨日の晩、嵐がひどくなる前に確実に格納したはずだぞ!」
船医のブラーウはおにぎりを食べることも忘れてヴェルデに話しかけた。
「・・・ん───とォ、あぁ、昨日のお医者様ねぇ? えーとォ、どうだったかなァ──? 覚えてないよォー、わかんないなァー」
ヴェルデは口の周りに飯粒をくつけながらも、なお、おにぎりを頬張りつつ答えた。
「誰か彼女を自動販売機棺桶から出したのか?」
船医のブラーウが周囲を、いや、レッドン、スールー、カッパード・・・ついでにグリンドーを見回して問いかけた。
「いやー、そんなことしないっスよ」とレッドン
「昨日の晩の時点じゃあ、まだ調整中って話だったじゃないですか?・・・危ねえし、余計な金を誰も使わないでしょうが!」
「・・・そうか、そうすると、ヴェルデ、お前は自分で自動販売機棺桶から出たのか?」
ブラーウはなおもヴェルデを問い詰める。
「う──ん・・・違うよォ、いつもと同じで自動販売機にお金が入る手順で出られたんだよォ、毎度、ありがとねェ~」
黄緑色の顔で目を細めるとヴェルデはニッコリと笑った。
ヴェルデの答えを聞き、ブラーウは今度はありそうもない、パプラ船長、オレージナ・・・あるとも思えないブルアンを見た。
見られた三人はかぶりを振り、オレージナにいたっては”まさか?”というようなジェスチャーをした。
「わ、私でもないぞ!」
ブリッジの戸口のところで金属製の手すりにつかまりながら現れた男が口をきいた。
船酔いで客室で寝ていたはずの・・・走砂艇ドマーロの金庫兼監視役のフェルト助役であった。
そんな状況を見て、ブラーウは言った。
「誰も開けていない・・・それじゃ、どうやって?」
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