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第二章 大海原をゆく船 第五節 フレイング・デッチマン号 その5
レッドンの元に膝だけを使って駆け寄ったオレージナは、彼が息を引き取る間際にその二本の左手のうち片方を握りしめたが、まもなく彼の左手は力を失った。
「レッドン・・・!」
オレージナは涙とともにその左手のひらを自分の頬に押し当てた。
「すまねェな、レッドン。最後に汚れ役をやらしちまって・・・」
グリンドーはそう言ってパプラに抱きかかえられたレッドンに頭を垂れた。
すると、オレージナが膝だけを使って立ち上がり、まだ恐竜男の血が付いた彼女の剣をグリンドーの手からもぎとると、吹き飛ばされた手首を抑えているカッパードとスーレーの方を向いた。
「よくも・・・レッドンのことをハエ男などと愚弄してくれたな!・・・許さない!」
オレージナが剣を二人に突き刺そうと動きかけたときにグリンドーがしゃがみ込んで、オレージナの体とその両手を押さえ込んだ。
「待てっ!オレージナ!・・・オレも復讐したいのはやまやまだが、こいつらからはいろいろ情報を引き出さないといかん!」
「くっ!!・・・!」
オレージナは少しの間、グリンドーをふりほどこうとしたが・・・すぐに抵抗をやめた。
しかし、その替わりに、「こいつら二人が変な真似をしないように見張るからピストルを拾うヨ!」と言い、カッパードとスーレーが持っていたピストルを二丁拾って、ゆるく二人に狙いをつけた。
「へへへっ!・・・それじゃあ、はやいとこ手当を頼むぜェ?」
カッパードがずうずうしくもグリンドーに哀願した。
「・・・いいだろう。頼むヨ。ブラーウ先生」
と答えるグリンドー。
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