第二章 大海原をゆく船 第五節 フレイング・デッチマン号 その5

3/3

13人が本棚に入れています
本棚に追加
/76ページ
 少しすると、ブルアン少年がリュックの中に梱包用スーパーハイテンションガムテープを四本と、六つの手錠を入れて運んできたので、パプラ、グリンドー、ブルアン、ついでにフェルトの四名は急ぎ透明で全裸の男たちの両手を後ろ手にガムテープで縛り始めた。  フェルト用のゴーグルは無かったので、彼は透明男たちの両手を縛るわけにもいかず、皆にガムテープを次々と渡す役だけこなしていた。  また、作業の途中で二人ほどの男が目をさましかけたので、グリンドーはみぞおちに一発パンチをくらわして再度気絶させる作業を行った。 「さて・・・透明な奴ら全員をドマーロに連れていくわけにはいかないからな・・・とりあえず、このまま、この甲板に転がしておくか・・・カッパードとスーレーはドマーロに連れて帰って治療の続きと尋問だナ」  グリンドーはパプラとともにカッパードとスーレーの両手を後ろ手に縛り上げてから言った。 「グリンドー!この十字架に架けられた黒番犬たち四名は手錠をかけてドマーロに連行しよう・・・もう君は海賊仲間というわけではないのだろう?」  パプラ船長がまだ何か疑うようにグリンドーに言うと、 「そうしますヨ! パプラ船長! 船長を裏切ってこいつらの仲間になると連絡したのも芝居でしたからネ」  グリンドーは少しニヤリとして答えた。 「それじゃ、早速、こいつらを縛っているロープを切りますかネ?」  グリンドーが左手のミトコンドリア葉緑体電気義手のカニの爪で、十字架に架けられた男の足首のロープを切ろうとしたそのとき─── 「ごわばーっ!!」  十字架に架けられたていた男の腹部が、からいきなり十字に切り裂かれ、血と内臓とが空中に飛び散った!  「!!なにっ?!」  血しぶきを顔に浴びたグリンドーは全く気配の無い攻撃に恐怖した───
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加