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第二章 大海原をゆく船 第一節 破壊工作 その3
「・・・いずれにしても、フィン・スタビライザーの制御盤にガラクタを押し込んでショートさせたのはお前じゃないかと嫌疑がかけられているンだがな? ヴェルデ?」
グリンドーが腕組みをしつつ、人造娼婦のヴェルデに問いかける。
「あらー、いいオトコじゃない!・・・うん、そうだよ、アタイが自動販売機から出る直前にぃ、誰かがプレイ前の要求を伝えてきたんだよォ」
2個のおにぎりを食べ終わったヴェルデは口の周りの飯粒を1粒づつ指で取っては口に入れながら答えた。
「・・・お前は、船を危険に陥れるその行為を悪いこととは思わなかったのか?」
船医のブラーウは技術者として質問した。
「うん、何か問題あるのォ?」と屈託なく答えるヴェルデ。
「・・・なるほど、やはりまだ、設定パラメータを変更しての再学習時間が必要なようだ・・・昨日の晩に、かなりバイアスがかかっていた設定パラメータを修正して、サービスマインド系メタ学習アルゴリズムライブラリをインストールしたんだが・・・ニューロンチップに保存済みの学習結果はバイアスがかかり過ぎていて、サービスマインド系AIとしてはかなり劣化が進んでいる状態だ・・・」
と分析するブラーウ。
「・・・難しいことは良くわからないけど・・・アタシが昨晩、最初に立ち会ったときよりはだいぶマシになったような気がするけれど・・・まだ、調整が必要だってことだね?」
オレージナも腕組みしながら口を挟む。
「その通りだ・・・サービスマインド系AIの再学習時間は昨晩の3時間の作業ではまだ不足していた・・・あと、最低4時間は必要になるだろう・・・見込みだが?」
とブラーウ。
「そうすると・・・一晩の徹夜作業が必要ということか・・・では、疲れているところで、済まないが、スーレー、カッパード、君たちにはブラーウ先生と、今晩の作業に立ち会ってもらいたい」
パプラ船長が早速、ちょっと厳しい命令を伝えた。
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